SSブログ

自己PRと志望動機の「強さ」について考える(その1) [面接対策]

神戸のイチロー

「強い」という言葉を書くといつもイチローのことが頭に浮かぶ。WBCでの活躍やメジャーリーガーとしての超一流のプレーではない。もっと強いイチローがいた。

オリックス・ブルーウェーブは1995年の阪神淡路大震災を乗り越え、その年にパリーグを制覇したものの、日本シリーズでヤクルトスワローズに大敗。1996年は神戸でのパリーグ制覇と日本一を合言葉に選手とファンが一体となった年である。

私は何を隠そう現在のオリックス・バッファローズの前身であるオリックス・ブルーウェーブのこれまた前身の阪急ブレーブスの追っかけをしていた。小学校の頃から、常勝軍団ブレーブスに魅せられて、西宮球場、西京極球場、日生球場、大阪球場、藤井寺球場に通っていた。中学、高校生の頃はクラブ活動が忙しくなり遠のいたが、1988年のオリックスへの球団譲渡後も応援を続け、2002年10月13日阪急ブレーブスの代表選手だった藤井康雄が引退する日までブレーブスを追い求めた。そしてその日もグリーンスタジアム神戸で藤井選手の引退式を見届け、プロ野球ファンも辞めて、今はプロ野球に何の関心もない。

95年~96年は東京圏にある西武球場、東京ドーム、千葉マリンスタジアムの試合はもちろんのこと、東日本の富山、山形、福島、函館、札幌まで遠征した。仕事?93年~94年は日本の季節感を感じることができないぐらい働いていたので、この2年間は出張命令なんて無視して、追っかけに徹していた。多分、もう二度とないことが起こる予感があったからだ。

この2年間のイチローは凄かった。その後も、今も十分に凄いが、完全に自分を犠牲にして神戸のために闘ったあの強さは尋常ではなかった。毎回見るたびにどこかスケールアップしているように映り、チャンスを作り、チャンスを広げ、多くのチャンスをものにしていった。あるテレビのインタビューでイチローはこんなことを言っていた。「…未来の自分から現在の自分をコントロールしている…という感じでしょうか。だからこの結果は当たり前だし、自分たちはこの未来のチャンスを必ずつかまないといけないと思っています。…」

イチロー独特の言い回しで、一瞬、聞き逃しそうになったが、とても重要なことに思えて、「…未来の自分から現在の自分をコントロールしている…」と呟きながら言葉を堀り起こして考えてみた。わかるような気もするし、わからない気もする。果たしてそんなことが本当にできるのか?

イチローの強さは日々増していく。試合開始前からの眼光の鋭さ、バッティング練習での完璧なミート(当時はこれを見るだけでも入場料を払っても惜しくないと思っていた)、練習のための練習ではなく試合のための練習が感じ取れる守備練習、無駄なく強く捉えるバッティング、言わずと知れたレーザービーム…どれをとっても100%の強さが伝わってくる。

そうか!イチローは神戸での胴上げを実現して神戸を元気にしている未来の構図を強く思い浮かべて、そのために自分がやるべきことを逆算して全て考えているんだ。自分一人だけの力では神戸での胴上げを果たせないとの思いから、自然のうちにチームが一丸となる雰囲気を自ら意識的に演出しているように思えた。

その結果、チームもファンも一丸となって、96年にパリーグ制覇をして神戸での胴上げ、ジャイアンツを破り同じく神戸での日本一を実現した。(あまり関係ないかもしれないが日本一になった日のスタメン発表のレアな映像をYou Tube にアップしているのでご関心のある方はどうぞ。 現場で撮ったビデオを抽出。http://www.youtube.com/watch?v=oL38TRn7JZs&feature=channel_page

「…未来の自分から現在の自分をコントロールしている…」この言葉は、このように言い換えられるのではないかと思う。「未来のありたい自分、そしてあるべき自分、つまり、まず自分のビジョンを明らかにする。そのビジョン実現のために何を(複数のWhat)、どのような目的で(Why)、いつのタイミングで(When)、誰と誰が(Who)、どこを対象に(Where)、どのような(How)、ことをやるべきかのイメージを持ち続ける。そこで自分のためにそして他人のためにも自分がやるべきことをやっていく。…」

私自身もイチローには到底かなわないので、自分なりの言葉に置き換えて実行した。「未来の自分から現在の自分を見つめる」ことにした。少し甘い気もしたが、「コントロール」では喜びを感じても、楽しさを感じないような気がしたからだ。もう10年以上これを言い聞かせながら、歩んできた。

強い自己PRを作ろう

今回はこの「強さ」を自己PRや志望動機にどのように込めるのかを考えていきたい。まず、今日は自己PRから。現在、副業でやっている模擬面接でも自己PRを聞いても、ほとんど「強さ」を感じない。どこか当り前のことばかりで、「それって…普通だよね?」となってしまう。

どこか当り前の自己PRを改善したいと思っている人も多いだろう。でも相手に大きなインパクトを与えることができるような「豊富な知識」「優れた能力」「大きな経験」があるわけではないので、強い自己PRなんて無理!無理!と思ってないだろうか。

あるいは、この時期になってもやはり「守り」に入ったままで、「無難」な自己PRになっていないか?このブログでも何度か指摘したと思うが、「この無難」が一番危険なのだ。小さい(笑)会社を経営して思うのは「リスク」は回避するものではなく、引き受けるものだと思っている。リスクから逃げていては絶対チャンスは生まれない。逆に言うと、チャンスをつかむためにリスクを引き受けないといけない。だから、そろそろリスクを引き受ける「攻め」の気持ちに切り換えよう。

無難に思える危険な自己PR

昨日も公務員を目指すとても明朗快活な学生さんの模擬面接を担当した。その学生さんの自己PRはこうだった。「私は相手の立場を考えたコミュニケーションができます。それはレジのアルバイト通して、お客様一人ひとりとのコミュニケーションに配慮してきました。例えば、ご高齢の方には少し声を大きくして、ゆっくりと話すように心掛けているように、お客様の状況やニーズをくみ取ったコミュニケーションを大切にしています。…」

とても無難であるが…相手の立場を考えないコミュニケーションなどないし、ご高齢の方に親切に対応するのも当たり前の話なのである。このPRだけで判断してしまうととても当たり前の人で進歩の無い人と思ってしまう。

そこでいつものごとく質問した。
(1)いつからそうなの?
アルバイトをやり始めた時に従業員の人にちゃんと目的意識を持って行動するように注意・激励された。その時以来、お客様や従業員との対応で相手の気持ちやニーズを一生懸命に考えるようになり、自分の行動を柔軟に変えていけるように心掛けた。

(2)それまでは相手の立場を考えてなかった?
恥ずかしながら相手のことを意識していなかった。でも人の話を聞く姿勢は他人よりも優れていたと思う。

(3)その強みがレジ打ちのアルバイト以外で発揮されてない?
ソフトボールサークル活動の副キャプテンとしてチームを盛り上げたことやゼミのグループ発表をまとめ上げたことにも発揮されたと思う。

これがわかっていれば、もっと攻めの自己PRができるはずである。例えば、「私は相手の立場や状況に応じて柔軟にコミュニケーションスタイルを変えることができます。以前は人の話を素直に聞くことを心掛けてきました。そして大学に入りに、スーパーでのレジ打ちのアルバイトを通じて、社会人との接点を持ったことでこれまで意識してこなかった相手の考え方やニーズを一生懸命考えることで、自分(のコミュニケーションスタイル)を変えることができるようになりました。それ以来、大学でのソフトボールサークルでの活動にも、政治学のゼミ研究にもその柔軟なコミュニケーションスタイルが発揮され、多くの人との信頼関係を築くことができました…」

未来の自分から現在の自分を見つめる

ここで考えなければならないのは、この攻めの自己PRをいかに強めるかである。このブログでも何度か言ってきたが、自己PRを強めるの方法はリクルート星人が推奨している具体的なエピソードや会話口調(「ありがとう!」など)ではない(←断言!)。イチロー的発想での「未来の自分から現在の自分を見つめる」視点。これしかない。社会のための価値を創り出せず現在の勝ち負けばりにこだわっているリクルート星の人には無縁の話である(困ったことにこのリクルート星人、自分では相当イケテル社会的価値を生みだして思っているんだから始末に負えない。全く無能な星人だ。)。

それでは上の例ではどのように「未来の自分から現在の自分を見つめる」と良いだろう。そこでその学生さんに聞いてみた。

(4)今後どうしていきたい(どんな人になりたい)?
もっともっと柔軟性が問われると思う。コミュニケーションの姿勢をどんどん変化させて、関わる全ての人から信頼される存在でありたい。

(5)そのためにはどんな努力が必要?
人の話からその意味や考え方がわかるように全神経を集中させて聞くこと。

結局、この人の自己PRはこうなった。
「私は相手の立場や状況に応じて柔軟にコミュニケーションスタイルを変えることができます。以前は人の話を素直に聞くことを心掛けてきました。そして大学に入りに、スーパーでのレジ打ちのアルバイトを通じて、社会人との接点を持ったことでこれまで意識してこなかった相手の考え方やニーズを一生懸命考えることで、自分(のコミュニケーションスタイル)を変えることができるようになりました。それ以来、大学でのソフトボールサークルでの活動にも、政治学のゼミ研究にもその柔軟なコミュニケーションスタイルが発揮され、多くの人との信頼関係を築くことができました。そして、今後、社会人になってもさらにコミュニケーションの柔軟性を問われることになると思いますが、自分を変えることを恐れずこれまで以上に他人の話に耳を傾けて、顧客にも組織にも信頼される存在になりたいと考えています。よろしくお願いいたします。」

ご報告

先日、びわこキャンパスでこのブログの読者に声をかけていただいた。いくつかの会社から内定を取っているものの、これで就活を終えて良いかどうかで悩んでいる様子だった。しかし、なんとなく内定している会社で妥協したい雰囲気があり、またエントリーから始めるモティベーションを呼び起こせない感じだった。その学生さんは荒削りながら大きなポテンシャルを秘めている。だから、「良かったな」とは言ったが、「おめでとう」とは言わなかった。

そして先ほど、またキャンパスで声をかけていただいた。「また、始めることにしました。よろしくお願いします。」…想いが伝わるとはこのことなんだ。結果なんてどうでも良い。自分の幸せを見つけようと最後の最後まで一生懸命やろうとする人をいつまでも応援したい。それが私に残された人生のミッション(使命)だと思う。

(お約束!)この記事を読んで満足された方、納得された方、何らかの気づきを与えられた方は、そして、元気が出た方、勇気が出た方、笑われた方は、→ここをクリック!
あなたの一票が人気ブログランキング・就職部門に登録しているこのブログに投票され、サイトにつながります。決して、人気を上げることが目的ではありません。気持ちを共有できる仲間をみんなで増やして、レベルを上げていきましょう!投稿記事は tateyama@inter-works.biz に送ってください。お待ちしています。

TOPページへ


2009-06-10 21:50  nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:求人・転職

nice! 0

コメント 4

はる

こんにちは。就活生です。
いつもためになるお話ありがとうございます。
自己PRも志望動機ももっと真剣に考えないといけないとわかりました。
なかなか良い結果が出ず、たまに落ち込んでしまいますが、
諦めずに頑張ろうと思います。

by はる (2009-06-11 10:53) 

ネッピー

はるさん

貴重なコメントありがとうございます。本当にナイスやコメントなどの反応の非常に少ないブログでコメントいただいた勇気に感謝していおります。昨日、あまりに反応のない原因を追及してもらうため、友人にブログを見てもらったところ、「長くて退屈だ!就活生には時間も余裕もないんだから要点だけをまとめろよ!お前暇なんか?」と言われてしまいました。

そんな~・・・自分としては皆さんに小手先ではなく応用力や人間力で勝負してもらおうと思って工夫しているつもりなのですが、やっぱり退屈なのか~と考え始めていたところでした。ありがとうございました。

そうですね。真剣に考えないといけないのですが、リクルート星人のような言葉の遊びではダメなんですね~。「真剣に自分の言葉に落とす」必要があります。でもそんなに悩み過ぎなくても、自己PRの場合は、自分の強みになるキーワードから、いつから?(過去)、大学時代にはそれがどのように発揮され(現在)、将来はどうありたいか(未来)を展開していけば良いということです。ひとつのキーワードにこだわり過ぎず、いろんなキーワードで試してください。きっと自分のオリジナルが見つかります。

結果は自分だけの問題ではなく、はっきり言って企業側の好き嫌いなどもありますので、気にしなくてよいです。ただし、面接で自分のことがちゃんと伝えられなかったことや曖昧な言葉で誤魔化してしまったことについては、その日のうちにノートに「どう回答すればよかったのか」をまとめて、何度も何度も読み返し、次の面接につなげてください。今日より明日、明日より明後日、明後日より来週…成長していればそれで良いです。

はるさんの「うまくいかないな~」という心の痛みを共に感じることができるように、私も成長していきたいと思います。自分を信じて、謙虚に進めば必ず道は開けます。それを信じるか信じないかは、はるさんの心の持ち方です。誰が何と言おうと・・・私は応援しています。

by ネッピー (2009-06-11 13:02) 

T/H

2013年度就活生です。4年前の記事のようですが、大変参考になりました。長すぎるなんてとんでもない。他の記事も時間のあるときに読みたいと思います。あとFacebookのほうでもシェアさせていただきました。ありがとうございます
by T/H (2012-03-12 02:30) 

ネッピー

T/Hさん
コメントありがとうございます。不思議なことに、年々訪問者が増えております。特に、今年は異常に増えていて、毎日2000人の方がアクセスされています。現在は更新していないので、「読者」はおられないことを考えると、毎日2000人って凄い数ですよね。記事が参考になったとのこと、良かったです。それはこの記事が良いのではなく、「読み解くことができた」T/Hさんのチカラだと思います。こういう方は、必ず道が拓けて幸せになれると決まっています。時と場所を超えて応援しています。また、FACEBOOKでのシェアありがとうございました。一人でも多くの就活生のみなさんが心の幸せを満たせる人生を歩めるように祈っております。何かあればいつでもお気軽にご連絡ください。メールアドレスはタテヤマアットマークテキザイテキショドットorgです。
by ネッピー (2012-03-12 13:53) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。