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自己PRと志望動機の「強さ」について考える(その2) [面接対策]

みんなのイチロー

前回は、イチローの言葉である「未来の自分から現在の自分をコントロールする」から、未来を創造していくことができる「強さ」を見つけ出した。その強さを自己PRに込めるために、PRする自身の強みを将来どのように伸ばしていきたいのかを表明することをお奨めした。前回に引き続き、イチローの話をしたい。

96年のイチローは、「チームのために」そして「ファンのために」という意識が、「自分のために」という意識を完全に上回っていたように思う。シーズン途中のイチローにとっては、とても不本意だったに違いない。自分のことでも精一杯なのに、どうしてチームメイトの心配やファンへの対応に気を遣わなければならないのか?いい加減にしてくれよ!というところだっただろう。

しかし…96年のイチローは違った。95年に野村監督率いる古田、高津、飯田、池山、オマリーなどのヤクルト軍団に完膚無き(カンプナキ)までに叩きのめされた結果に納得できなかったからだと思う。自分が封じ込まれたことも含めて、チーム力の大きな違いを感じただろう。日本一になるためには、最後の最後は結局チーム力の差であることを日本シリーズの舞台で学んだに違いない。

イチローは、自分は「進化する人」であり、「プロフェッショナル」であることを強く意識していた。「チームのために」昨年できなかったことを意識的にやり始めていた。試合前の雰囲気、試合中の動作、試合後のコメントなどから昨年との目指すレベルの違いを感じ取ることができた。また、ファンに対しても「魅せる野球」を全面に押し出していた。球場ではニコリともしなかったが、ファンのために「超一流としてのプレイを見せること」そして「試合に勝つこと」を両立させることが「魅せる野球」の結論であり、自身のビジョンとなっていた。ファンがお金を払って試合を見に来るのは、自分たちのプレーに感動し、勝つことに満足して帰り、明日への活力源になっている…そのことをイチローは人一倍意識していた。だからにニコリとしてもファンの満足度を引き出せないし、神戸の人も元気にはならないと考えた。全力プレーで勝つしかない。イチローは私たちが考えるよりも高いレベルで覚悟していたに違いない。

それが最も顕著になった試合がある。1位を走っていた日本ハムと5ゲーム差の2位で追うオリックスとの札幌丸山球場での8月真夏の直接対決の2試合である。小学校4年生の頃からプロ野球を生で見てきたが、これだけチームの気迫が伝わってきた試合はこれまでになかった。イチローが意識的に作り出してきたチーム力が爆発した。あまりの爆発にイチロー本人の存在さえも小さく見えてしまうぐらいのベンチ入りの監督、コーチ、選手、その他スタッフ40人の迫力だった。決して大量点ではないのに、負ける気がしない。攻撃の1本1本、1点1点がずっしりと重く、守備の1投1投、1球1球に魂がこもっていた。まさに、イチロー野球。それぞれの選手やスタッフ全員が自分の役割を意識して、たまには守備範囲をはみ出す意欲を持ち、球場に来てくれたお客さんを満足させる野球をするために200%の力を出し切っていた。

帰京する飛行機で日本ハムの選手たちと一緒になった。待合室で濃厚ミルクのソフトクリームを食べる選手たちの表情はとても1位の選手たちとは思えないほど小さく、戦意を喪失して切り替えの利かない印象を受けた。そのとおり、間もなく首位が入れ替わっていた。

そして9月23日にはイチローのサヨナラヒットでパリーグを制覇した。イチローは試合が決まった瞬間、2塁ベース近くで拳(コブシ)を高々と突き上げてのガッツポーズを繰り返した。これまで「相手に失礼になる」ということでガッツポーズを表に出さなかったイチローがなりふり構わずガッツポーズを爆発させている。満面の笑みでチームメートと抱き合い、涙を浮かべ仰木監督と握手し、そして拍手が鳴りやむまでファンに手を振った。こんなイチローが想像つくだろうか。もちろん現場にいたものとして、イチローがチームを強くしてくれたことを素直に感謝した。

祝勝インタビューでのイチローの一言はこうである。「札幌が全てだった。やっと全員の目標が一致した。試合を戦うごとに強くなっているこのチームでプレイしていることを誇りに思う。」自分を犠牲にしてまでチームやファンに尽くしてくれた強いイチロー。やっぱりあなたは世界一のプレーヤーだと思う。

志望動機を強くする

志望動機の作成については、このブログの志望動機の作り方(09年度版)
http://tateyama.blog.so-net.ne.jp/2009-05-08

模擬面接を通じて見えてくるもの(その3)
http://tateyama.blog.so-net.ne.jp/2009-06-01
の両方を見てほしい。

志望動機の作り方(09年度版)では、志望理由(なぜこの会社なのか)と実現宣誓(何に貢献できるのか、何を実現したいのか)の2つのフェーズに分けて説明した。そして各フェーズを以下のコンテンツに分けて志望動機の作成を提案している。

第1フェーズ(志望理由)
(1)(自分が直感的に気になっている)企業・組織の価値観、組織文化、社風など
(2)(それらの価値観、文化、社風などから生み出された)企業・組織の強み〈できれば複数)
(3)(それらの価値観、文化、社風や強みに)魅力を感じる理由(自身の価値観と共有点)
第2フェーズ(実現宣誓)
(4)(自身が直感で最も注目している)企業・組織の強みの中の強み
(5)強みの中の強みを生かした今後の展開
(6)企業の今後の展開に関連した自身の強み
(7)貢献&実現できることを表明

模擬面接を通じて見えてくるもの(その3)では、恋愛・新婚・結婚論として3つのフェーズに分けて説明することをお奨めした。

(1)他の会社ではなくこの会社を選んだ理由
(2)その会社に入って貢献できると考えていること
(3)長いスパンの中でその会社で実現したいと考えていること

面接では後者の3つのフェーズに分ける方が「話す説得力」があるので、後者で志望動機を強くする方法を考えていきたい。先日、繊維素材メーカーを志望している学生さんの模擬面接を担当した。志望動機を3つのフェーズに分けて話してもらったところ以下のような内容を聞きとることができた。

(1)先輩からの紹介で説明会に参加して関心を持った。あらゆる素材を繊維にしてしまおうというチャレンジ精神があり、社員からも仕事にかける熱意が伝わってきた。
(2)自身の突破力を生かして難しいがやりがいのある最先端や特殊事業の営業として活躍したい
(3)最先端の分野で名を残したい

「強く」する前に、基本的なところからおさえておこう。まず、(1)では「理由」になっていない。チャレンジ精神や熱意を感じるからこの会社を選んだのではないと思う。自分の価値観としてチャレンジ精神や熱意とつながる部分があるからだ。例えば、「…自分もこれまでの人生の中でチャレンジ精神を大切に生きてきて、インターンシップで社会人として熱意を持つ続けることの大切さを学んだので…」などとなる。

よくあるパターンでは「御社の化粧品をずっと使ってきて、もっと多くの人にこの化粧品の良さを知ってほしいと思ったから」は理由ではなく、例えば、「御社の化粧品の質へのこだわりが、量より質を心がけて活動してきた自身の価値観と合うから」が理由となる。つまり、会社と自分の価値観との共有を考えなければならない。

次に(2)では、自分の希望を述べているだけなので、「(会社に)貢献できるか?」の問いには応えていない。会社は最先端や特殊事業をどのようにしたいと考えているのか?その事業の成功によって何が生まれるのか(変わるのか)?を考えないと自分が本当に役に立つ(貢献)できるかを想定できない。来年にもこの事業は縮小してしまうかもしれないからだ。だとすると…例えば、「御社は新しい生活のスタイルへの変革を提案されていることから、今後も最先端や特殊事業を積極的に進めていかれると説明会やOB訪問でお話いただきました。そこで、自身のこれまでの突破力を生かして難しいがやりがいのある最先端や特殊事業の営業に貢献したいと考えております…」となるだろう。

そして、(3)は抽象的過ぎる。(1)よりも(2)の内容が少なく、(3)が最も短くなるという典型的な×のパターンである。最先端で名を残すためには、どのような製品を世に送り出していかなければならないのか?あるいはどのようなシステムを会社に導入していかなければならないのかを真剣に考えなければならない。例えば、「最先端の製品の普及を最先端を進める他の業界と連携した最先端プロジェクトをマネジメントできるような存在となりたい」などになる。ここは、自身で開発したモノやシステムが社会に大きな影響を与えることを実現したい、社員・人材教育に関わることで次世代のシーズ(種)を生み出したい、真のグローバルスタンダードな会社と呼ばれるようなネットワークを築きたい、社会のために本当に役の立つCSRをマネジメントしたいなど…実現不可能ではない大きな夢なら何でも良い。

ということで、志望動機は
「尊敬する先輩からの紹介で説明会に参加したことをきっかけにして御社に関心を持ちました。説明会では、あらゆる素材を繊維にしてしまおうというチャレンジ精神と社員の皆さんの言動からも、仕事にかける熱意が伝わってまいりました。自身ももこれまでの人生の中でチャレンジ精神を大切に生きてきて、インターンシップで社会人として熱意を持つ続けることの大切さを学びましたので、御社の考え方に非常に強く共感できます。
 御社は新しい生活のスタイルへの変革を提案されていることから、今後も最先端や特殊事業を積極的に進めていかれると説明会やOB訪問でお話いただきました。そこで、自身のこれまでの突破力を生かして難しいがやりがいのある最先端や特殊事業の営業に貢献したいと考えております。
 入社後につきましては、例えば最先端の製品の普及を最先端を進める他の業界と連携した最先端プロジェクトなど、外部との連携による事業をマネジメントができるような存在になることを目標として、成長していきたいと考えております。」
となる。

強い志望動機

さて、いよいよ志望動機をどのように「強く」するかである。ここでまたまたイチローの登場である。「進化する人」であり「プロフェッショナル」を追及し、夢を実現することから逆算して、一人では成し得ないことをチームで成就させるための環境・雰囲気作りに取り組んだのである。そこに爆発的なチカラを実らせた。

そう。やはり、(3)の将来実現したいことについて、
1)自分が進化することで周りに影響を与える
2)自分がプロフェッショナルを極めることで周りを動かす
3)チームの一体感を生む
要素を入れ込むことを考えてみる。

「外部との連携による事業をマネジメントできるような存在になる」ために
1)他業界の動向を把握し、
2)他の業界の利害調整をできるような論理的思考やツールを持ち、
3)社内からの信頼を勝ち取る
ことが必要最低限の条件になるだろう。

「…入社後につきましては、例えば最先端の製品の普及を最先端を進める他の業界と連携した最先端プロジェクトなど、外部との連携による事業をマネジメントができるような存在になることを目標として、成長していきたいと考えております。そのためには、関連する他業界の動向や情報にも高いアンテナを張り巡らし、関係者の理解や納得を引き出すための論理的思考やツールを専門的に持ち、そして何よりも社内から大きく信頼される存在になれるように力を尽くしたいと思います。」

この文章が入ることによって、「外部との連携による事業をマネジメントができる」が夢物語や言葉の遊びにならない効果が生まれる。この志望動機が長すぎると思う場合でも、少々(1)が短くなってもこの(3)に全神経を集中させる。企業の関心は自ずと(3)なのだから、(3)に集中すれば良い。今までは(1)に集中しすぎて、(3)が抽象的になり、攻め込まれたのではないだろうか。簡単に言うと、自分のありたい姿をイメージし、自身の進化形、専門性、協調性によってそのイメージを強めれば良いと思う。言うのは簡単であるが、これを一社一社考えるのはたいへんなことだ。簡単だとは言ってない。でも人間は難しいことに挑戦しなければならない時があるのだ。

ガッツポーズを繰り返し、喜んで抱き合い、涙して握手し、多くの人から祝福される幸せをつかむために、今、楽しく苦しもう!これをタノクルシムという。皆さんと私の辞書に登録された言葉として残したい。

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2009-06-11 23:52  nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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